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大企業の幹部がベンチャー企業で活躍できない理由

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 ベンチャー企業がある程度の規模になると、社長を支えてくれる経験や専門知識を持った大企業を経験した人材の採用に踏み切るケースが多い。職務経歴書には輝かしい経歴と実績が並び、採用の運びとなる。しかし、その後を聞くと上手くいっているという話をあまり聞かない。会社の発展を加速させるには、よく似た会社を大きくした経験のある人を採用するのがもっとも効果的だといわれる。しかし、それには、危険を伴うことを肝に銘じておかなければならない。よくあるケースとして、「ハード・シングス」の著者ベン・ホロウィッツは以下の2点を指摘している。

1. 仕事のペースや仕方とのミスマッチ

  大企業の幹部経験者の場合、優秀な部下を配下に持ち、部下の段取りを前提として仕事をしている人が
  多い。ベンチャー企業では、自ら行動しないと何も起きないことが多い。そして、何よりスピードが
  優先される。このミスマッチに気づかず組織の未熟さを批判ばかりして会社の中で浮くケース。

2. 組織を動かすスキルのミスマッチ

  大組織を動かしていくには、ベンチャー企業とは全く異なるスキルが必要であることが多い。複雑な意思
  決定、優先順位付け、組織設計、業務プロセスの改革、組織コミュニケーションといったスキルである。
  こうしたスキルは組織が複雑で大きいがゆえに必要となる。しかしながら、ベンチャー企業においては、
  組織も単純で、業務プロセスもシンプル、組織コミュニケーションもさほど必要ないケースが多く、
  むしろその分、業務に精通し、ゼロから業務プロセスを構築したり、新しい取組みに積極的にチャレンジ
  する創造性が重要となる。よって、過去の経験が邪魔をして、組織の中で空回りしたり、仕事を必要以上
  に難しくしたり、理屈をこねくり回すようなことになってしまうケース。

 こうしたミスマッチを防ぐためには、採用段階での見極めともに、会社に溶け込ませるための努力が重要となる。前述のベン・ホロウィッツは3つの点を挙げている。私なりの観点を交えて紹介したい。

shakehands ひとつは、短期間で目標を与え、すぐに結果を出せるように配慮することである。こうした取組みの成果を確認するプロセスを社内は注目している。そのことによって社内の受容姿勢が生まれるきっかけとなる。

 ふたつめは、自社の企業背景についての理解をトップ自らミーティングの機会を持つなど、積極的に働きかけて質問を促すことである。特に、製品、技術、顧客、市場、そして会社の歴史に対する理解は不可欠である。

 最後に、社内のキーパーソンと自主的に交流を深めてもらうことである。企業で活躍するにはその企業独特の企業特殊能力が必要である。それを身に着けるためには、知っておくべき人、学びとるべき人との交流が重要となる。その交流を通して何を学んだか、どういうビジネスネットワークを構築したかを報告してもらい、ビジネスの理解や仕事をする環境整備の程度を確認することも忘れてはならない。

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com