「人と組織の成長を支援する」情報・サービスのご紹介
cts_clm_201504_01

効率人財と効果人財

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 現在、時間によらない働き方を促進するというホワイトカラー・エグゼンプションを想定した労働法改正をめぐっての議論がかまびすしい。残業ゼロ法案だとか、過労死促進法案だとか本質とかけ離れた議論が多いのが気になるところである。日本の労働基準法は、戦前の生産現場の人たちの健康確保を図ることを目的で作られた工場法の流れをくむものであることから労働時間管理に関して時間内にどれだけの作業量やモノづくりを行えるかということが重視される効率人財に重きをおいて労働時間規制がなされている感が否めない。

 

 時代は変わり、産業構造も大きく変化してきて仕事や働き方は多様化してきている。中でも、時間にとらわれず仕事の成果を問われる仕事をする人が非常に増えているのも事実である。例えば、研究開発や商品開発に携わる人や提案及びコンサル型の法人営業をする人、種々の企画に携わる人、金融ディーラーやアナリスト等数えればきりがない。こうした人たちは、時間にとらわれない働き方をしてその仕事の成果(付加価値)を期待されるところから効果人財と呼ばれている。もちろん、こうした変化に対応してフレックスタイムや裁量労働などの制度改革が行われてきてはいる。しかし、制度がつかいにくい、対象が限定されすぎているなどの批判が絶えない。今回の改正はこうした背景を受けてのものであろう。 今回の改正は、それ以外に「健康確保の徹底」「ワークライフバランスの促進」を合わせて三位一体改革を目指しているという。

 

 そもそも、法的に労働者は雇用主に指揮命令されるものであり、労働時間は雇用主の指揮命令下にある時間で働くという定義になっている。ICT技術の進展によって、職場は大きく変化してきている現在、こうした定義が現実と整合性がとれているかも考えなければならない時代になっているといえよう。しかし、いまだにモノづくりや加工などの生産現場や作業現場では、機械化が進んだとはいえ効率人財が主役であることは間違いないし、その生産性の高さは欧米に遜色ないといわれている。一方で日本のホワイトカラーの生産性の低さは先進国の中でも際立っているという指摘があるのも事実である。こうした中、企業では効率人財と効果人財の評価処遇の在り方をどうしていくのがいいか改めて見直しがされている。もちろん、仕事は両面あることが多く、単純にはいかない。そこが悩ましいところといえる。地道に技能を磨き習熟によって生産性を高めていく人財と高度な知的専門性や想像力、問題解決力によって付加価値を生み出していく人財、両方ともに企業には必要である。しかし、これまで後者についての評価処遇はなかなかいいモデルとなるものがなかったといえよう。

 

雇用形態の多様化も進んでいる中、自社の人財活用ポートフォリオをどうしていくか、生産性を今後どう向上させていくかを見直す重要な岐路に差し掛かっているのではないだろうか。

 

 地道に技能を磨き習熟によって生産性を高めていく人財と高度な知的専門性や想像力、問題解決力によって付加価値を生み出していく人財、両方ともに企業には必要である。しかし、これまで後者についての評価処遇はなかなかいいモデルとなるものがなかったといえよう。雇用形態の多様化も進んでいる中、自社の人財活用ポートフォリオをどうしていくか、生産性を今後どう向上させていくかを見直す重要な岐路に差し掛かっているのではないだろうか。

 


 

hpt_katsuhiko.ito



 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com