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組織文化とマネジメントスタイル

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 組織の間で共有された価値観、態度及び行動様式を組織文化と呼ぶが、近年この文化の差が業界や企業、地域、職種等によって大きく違ってきていることを実感している。

 

 こうした文化の違いを国レベルで比較研究したものとしては1970年代にIBMの世界各国(約70か国)の現地法人で働く人12万人近くを対象に行ったオランダの心理学者ホフステードの研究が有名である。それによると①権力の距離、②不確実性の回避、③個人主義、④男性度、といった差異が文化に影響を及ぼしていたという。

 

 権力の距離とは、所属組織やグループにおける身分や地位と権力の相違をどこまで受け入れるかどうかをいう。この距離が長い文化では受け入れる度合いが高く、反対に短いと低いとされた。中南米は前者であり、イスラエルやオーストラリアは後者であったという。日米比較では、日本の方が階層や地位の差を容易に受け入れる傾向が強いということであった。

 

  不確実性の回避とは、リスクと不確実性を不快と感じる程度をいい、不確実性の回避の高い文化では、構造化と規則が好まれ、低い場合は柔軟性と個人の率先性が好まれるという。ギリシャやポルトガルは前者の典型、後者はシンガポール、香港、デンマーク、スウェーデンがこれにあたるという。現在の香港における騒動を考えるとこのあたりのことが影響しているのかもしれない。日米比較では、日本の方が前者の傾向が強いとされた。

 

team 個人主義とは、自分自身及び直接の家族の幸福を第一と考える文化を言う。対するのは集団主義である。前者は、個人の業績や能力を重視するが、後者は個人の協調性とグループの業績を重視するという。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏諸国は前者の色が強く、ガテマラ、エクアドルなどの中南米諸国は後者が強いとされている。日本は世界ではほぼ中位であるが、アメリカなどに比べると集団主義的といえるようである。

 

 最後の男性度とは、社会における価値を、成功、金、物質の求める傾向をいう。反対に女性度とは、他人に対する思いやりや生活の質に価値を求める傾向をいう。組織においては、前者は競争、給与、昇進を重視し、後者は協力、友好的雰囲気、雇用保障を重視する。ホフステードの研究では、男性度の最も高い国は日本であったという。ホフステードの研究から50年近くが経過し日本の男性度はどう変化したのであろうか、興味は尽きない。

 

 このような文化的差異は、計画化、組織化、指揮・命令、統制といったマネジメントスタイルに大きな影響を及ぼすことが明らかになっている。つまり自社の文化的特性をどうとらえるかによって、ふさわしいマネジメントスタイルを考える必要があるのである。

 

 近年、こうした文化的差異が国内であっても大きくなってきているように感じる。業界や企業、地域、職種等だけでなく世代による違いもあれば、性による違いもある。ここに一律のマネジメント教育の難しさが生じているのである。それぞれのスタイルに合った教育の在り方を整備するのはなかなか骨の折れる作業といえよう。

 

 しかし、こうした多様性を受け入れ経営に活かしてこそ、新時代の経営といえるのではないか。改めて取り組んでいかなければならないテーマといえよう。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

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