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第2回:物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

嶋田俊平(株式会社さとゆめ 取締役 チーフコンサルタント)
人材・組織・経営-専門家コラム

 物語マーケティングは、前回紹介したように、「物語」を活用することで消費者の共感を生み出すビジネスプラン等を生み出すマーケティング手法ですが、今回は、私が「物語マーケティング」に着目したきっかけについてお話したいと思います。

 

 私が地域振興の支援を始めた2000年初頭は、地方自治体の財政悪化がメディア等で話題になり始めたころ。ただ一方で、そうは言っても国の交付金があるし「地域」が破たんすることなんてあり得ないという楽観的な見方が支配的でした。そんな空気が一変したのが、2007年の夕張市の財政破たん。

 

 それまでの地域づくりの手法というのは、地域の課題を出来るだけ網羅的にあげて、満遍なく予算を投下していくようなやり方が一般的でしたが、いつまでもそのようなやり方をしていては税金がいくらあっても足りないどころか、財政の破たんに繋がり得ることが明らかになりました。

 

 そこで、私は、消費者や市民ニーズを踏まえた徹底的な「選択と集中」の考え方が、地域づくりの分野においてより重要になってくると考え、地域振興計画や観光振興戦略等を、マーケティング手法を活用して策定するビジネスを始めました。

 

 いくつかの自治体でその後の事業化に繋がるなどの成果はありましたが、一方で、SWOT分析、ターゲティング、ポジショニングなど横文字が多く、事業のステークホルダーである地域住民の方(村おこしなどの現場では高齢の方がステークホルダーになるパターンが多い)が拒否反応を示すなど、なかなか馴染まないという課題に突き当りました。

 

 私のようなマーケティングの専門家が地域に赴いてプランをつくる際にはそれでもいいでしょうが、持続可能な地域をつくるためには、地域住民が常にマーケティング思考を持って自分達で継続的に施策を立案・実装していく必要があり、マーケティング自体に苦手意識を持たれては、物事が進みません。

 

rec そんな悩みを解消するヒントを、たまたま、京都府綾部市で都市と農山村の交流・移住促進に取り組む塩見直紀さんにインタビューした際に掴むことができました。

 

 京都府綾部市は、京都市街から2時間ほど離れた決して地理的に恵まれたところではありませんが、毎年数十人が都市から移住する、移住交流の分野で成功事例と言われている地域です。

 

 そんな綾部で移住交流に取り組む塩見さんがおっしゃった言葉がこちら。

 

 「上勝町(※1)に売り上げでは勝てない。美山町に交流人口(※2)では勝てない。綾部は、綾部で生まれる『物語数』で勝負したいと思っている。一万の物語を生み出したいと思っている。交流の中から生まれる物語を。例えば、村のおじいちゃんが、イベントに参加した町の人に名刺を初めて作ってもらった。人生で初めての名刺を作ってもらったと喜んでいた。例えば、味噌作りのイベントに参加した神戸のデザイン会社の社長さんが、イベントのポスターをプロの技を使って作ってくれた。とても喜んでいた。こうした物語を沢山作っていきたい。」

 ※1 葉っぱビジネスで一千万円以上も稼ぐおばちゃんもいる町
 ※2 日本一茅葺の民家が密集しており、日本全国そして海外からの観光バスがひっきりなしに訪れる町

 

 塩見さんのこの言葉を聞いて、はっとしたのです。ポジショニングだ、ターゲティングだと難しいことを考えないで、生産者と消費者、都市居住者と農山村の住民の間に濃厚な「物語」を創っていくことこそが、人口減少社会での効果的なマーケティングに繋がるのではないかと。実際に綾部市は、「物語数」を指標に、彼らの事業における顧客である都市住民のニーズにあった施策を講じ、大きな成果を収めています。

 

 このインタビューをきっかけに、地域づくりの分野で「物語」と「マーケティング」を融合する試行錯誤を始めることになりました。

 

 前置きが長くなってしまいましたが、次号では、物語マーケティングの具体的な手法論を説明したいと
思います

 


 

shimada


 株式会社さとゆめ
 取締役 チーフコンサルタント 嶋田 俊平

京都大学大学院農学研究科修了。環境保全・地域振興の専門コンサルタント会社勤務を経て、2013年5月 株式会社さとゆめ 設立。コミュニティビジネスの計画策定から事業の立上げ、商品開発、販路開拓、店舗プロデュースまで、トコトン地域と伴走するコンサルタントとして、全国を飛び回る日々。技術士(環境部門、森林部門)。

個人ブログ「日本再発見ノート」 http://shumpeishimada.hatenablog.com/

 


 

株式会社さとゆめ

「ふるさとの夢をかたちに」を合言葉として、持続可能な地域づくりのためのヒト・モノ・コト・バづくりをトータルコーディネートする伴走型コンサルティング会社。全国の隠れた逸品、頑張っている生産者を応援するためのアンテナショップ「さとゆめLAB SHOP」(永田町)も運営。

■会社HP http://satoyume.com/

■さとゆめLAB SHOP https://www.facebook.com/LabSatoyume

 


 

 

バックナンバー : 物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

 ◎第1回 http://www.kensyu.com/info/archives/69