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従業員体験(Employee Experience)が企業の魅力を決める時代に

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 最近、従業員体験(Employee Experience:通称EX)の向上という考え方がHRマネジメントの世界でよく聞かれるようになった。
これは製品やサービス開発、ネット上のサイト構築の現場で、ユーザーが製品やサービス、サイト利用を通じて得られる体験という観点からユーザーの目的が達成できるようなUser Experience(UX:ユーザー体験)を設計、デザインや機能に落し込み、満足度を高めるという取組みからきているようである。つまり、製品やサービス、サイト利用を通じて得られる体験を< メールマガジン続き.. >企業で働くことで得られる体験に置き換えて、従業員の働く目的の達成、満足度向上を考えていこうというものである。

 

 EXの主たる領域としては、以下の3つが注目されている。

 ①入社して組織になじみ力を発揮できるようになるまでの受入プロセス

 ②従業員の学習サポート

 ③快適で柔軟な労働環境

 

 社員が入社して組織になじみ、力を発揮できるようになるまでのプロセスは、組織社会化という概念でよく研究されているテーマである。特にここにおけるリアリティショック(入社前に想像していた状況と入社してからの実情のギャップからくるショックをいう)が早期離職の主たる原因になっていることは広く知られている。会社の印象は入社数週間で決まるといわれるが、ここにおける体験(受入プロセス)をどう設計するかは重要な取組みといえよう。そのための様々サービスも開発されている。

 

hpt201810 次に、学習サポートであるが、一般的に企業(特に大手企業)には教育体系が整備され、計画的に教育が実施されているところが多い。それは、OJT支援、Off-JT、自己啓発といった観点で実施されている。しかしながら、そこには、従業員側に立った成長体験という観点はあまり重視されていないように思われる。EXの観点からいえばその企業に入社すれば、自分の成長のためにどういう環境や制度や仕組みが整備されて、機能しているかということである。

 

 ここで大事なのは、従業員個々が望み、期待するキャリア形成を支援し、従業員の働く目的を達成できるようにするということである。そういう意味では、従業員に明確な目標を設定してもらい、それを達成できるように適切なコーチングを行うことも重要なEXといえよう。

 

 目標管理は評価・処遇を行うためのものだけでなく、従業員の成長体験をより良いものにするという視点が重要になってきているということである。それがゆえか、評価におけるレイティングをやめ、育成・成長支援を重視する企業も出てきている。

 

 最後に、快適で柔軟な労働環境であるが、これについては、オフィス環境変革の事例がいろいろと紹介されているので、関心をお持ちの方も多いのではないか。特に、脳科学、生理学、心理学といった研究成果から、従来の常識を覆す取組みが広く行われ出している。自宅やオフィス外で仕事をするリモートワークもその取組みの一環と言えよう。こうしたEXから得られる価値の共有が新たな企業と従業員をつなぐ絆になっていくのかもしれない。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

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