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アサーティブコミュニケーション

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
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 ここ数年、職場コミュニケーションの在り方として、アサーションという言葉がよく出てくる。意味するところは、「自分も相手も大切にする自己表現」という紹介がされている。もともとは、1970年代から80年代にかけてのアメリカで性や人種差別に対する人権回復運動の中で、< メールマガジン続き.. >アサーションする必要のある人々の訓練方法として発達したもののようである。それが日本に入ってきて今に至っているという経緯がある。

 

 このアサーションを行うためには、相互に共有する価値観が必要とされている。その代表的なものは、「私たちは誰もが自分らしくあっていい」「人は誰でも自分の気持ちや考えを表現していい」ということであるという。この考え方は、まさに時流となっているダイバーシティや職場における心理的安全と通じるものがある。元来、我々日本人は、外国人に比べて自己表現がうまく行えないといわれている。そのため、職場では、「泣き寝入り」「我慢」といった状況が広く蔓延している。近年、それがハラスメントやメンタルヘルスとして注目され問題になってもいる。

 

 さて、自己表現には、主として3つのタイプがあるといわれている。一つ目は、非主張的自己表現のタイプである。これは、自分の考えや気持ちを言わず、言いたくても自分を抑え、結果として相手のいうことを聞き入れてしまうというタイプである。まさに世界の中では日本人気質といえるものである。職場における弱者や自己犠牲的対応を性格的に受け入れてしまう人に多い。

 

hpt201807 二つ目は、攻撃的自己表現のタイプである。これは、非主張的自己表現の逆で、自分の考えや気持ちを伝えることはできるが、自分の言い分を一方的に通そうとして、言い分を相手に押しつけたり、言い放しにしたりするタイプである。役職や年齢が上の人などはその立場を利用してつい攻撃的な自己表現をしがちで、それがパワハラにつながったりするケースも多い。

 

 最後がアサーティブな自己表現である。これは、非自己主張的表現と攻撃的自己表現をうまく使い分け、相手に不快な思いをさせることなく自分の気持ちや考えを伝えられるタイプである。

 

 

 さて、職場でよく聞かれることとして、「職場において自分の意見や考えを率直にいうと生意気だと言われる」「立場が下の人や若い人の意見が通りにくい風土がある」といった一般社員の声だけでなく、管理者にも「労働時間を適正化するために部下に無理を頼みにくいから役職者として自らが犠牲になって対応している」「何かというとすぐハラスメントということが気になってコミュニケーションが難しい」といった声がある。つまり、アサーティブなコミュニケーションができていない職場が多いのである。

 

 現在、職場では以前に比べて様々な問題が発生している。その背景として、職場における会社と社員の関係性変化とそれに伴う社員の就業意識変化、世代ギャップ、雇用の多様化で意識や価値観の違う人が同じ職場で働く環境、といったこと等があるといわれる。しかし、それだけではなく職場でアサーティブなコミュニケーションができず、問題が表に出にくく沈潜している土壌があるのではないか。

 

 職場コミュニケーションの在り方としてアサーションを学ぶのも職場問題の解決策のひとつになると考える次第である。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

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