「人と組織の成長を支援する」情報・サービスのご紹介
人材・組織・経営-専門家コラム
ホーム > 人材・組織・経営-専門家コラム > 株式会社HPT研究所 > 生産性向上と中間管理職の役割
cts_clm_201504_01

生産性向上と中間管理職の役割

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 中間管理職が部下の生産性にどう影響を与えているかについては、科学的根拠に基づいた文献はあまり多くない。こうした中、「日本の人事を科学する」という東京大学の大湾教授の新著では因果推論に基づくデータ解析によってそれを明らかにしている。大湾教授によれば、中間管理職が部下の生産性を向上させるために担う役割として以下の4つの点が重要であると指摘している。< メールマガジン続き.. >

①情報収集と戦略立案
 :市場動向、顧客ニーズなどの新たな情報を集約し、最適な戦略を立案する

②他部署との調整
 :他部署と協調して意思決定を行う

③評価と配置
 :部下の能力を評価し、それにもとづき職務への適切な配置、責任の配分を行う

④部下の教育と動機づけ
 :部下の生産性を上げるために、必要な技能を身に着けるためのトレーニング、コーチングを提供し、
    褒章、キャリア設計を通じた動機付けを図るとともに進捗状況を管理する

 

HPT1708

 ①、②は人的資源を最適に投入する戦略を明確にし、他部署と協調することでスムーズな業務連携を生み出し、生産性を向上させるということであろう。この点については識者が人的資源の有効活用の視点で指摘していることである。

 

 さらに近年、配置と教育と評価の問題が注目されてきているという。加えて、この3つの観点を公平かつ適切に行えるかが中間管理職の適性であることを指摘している。そして、上司の部下への影響は育成を通じたものであると結論づけている。つまり、部下育成に力を注がない上司は部下への影響力がないということである。

 

 

 

 さらにこうした影響は上司が変わっても大部分が残るともいう。つまり、上司は部下育成を通じて自分の影響力を保持、組織文化として定着させ、組織の成長を促す役割があると言っているのである。具体的には、業務効率を上げるための適切なアドバイスや仕事への心構えを指導することで、部下の技能やノウハウを向上させ、その結果として業務生産性(=部下の成果評価)があがり、そのことで部下との信頼関係が深まり、影響力が高まるということなのだと思われる。この点については、以前ハーバートビジネススクールのテレサ・アマビール教授らのインナーワークライフの研究を通して、知見を紹介させていただいた。

 

 職場における人材育成機能として「業務支援」「精神支援」「内省支援」が重要であることを指摘したのは、同じ東京大学の中原淳准教授であった。中原によれば、中でも上司の役割として「精神支援」と仕事結果の評価・振返り「内省支援」の役割を重視していた。こうした点を総合的に考えると、職場の生産性向上という働き方改革の本筋達成のためには、部下育成に改めて意識を傾注し、中間管理職の役割における配置、教育、評価の優先順序を考え直すことが重要と言えるだろう。「急がばまわれ」ということなのである。

 

 


 

hpt_katsuhiko.ito

 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

バックナンバー(最近の記事)

 ◎人手不足の矛盾(http://www.kensyu.com/info/archives/3473
 ◎自己効力感-モチベーションマネジメントにおける新たな力点(http://www.kensyu.com/info/archives/3373
 ◎人生100年時代の企業人事(http://www.kensyu.com/info/archives/3272
 ◎モチベーションとキャリア形成支援施策(http://www.kensyu.com/info/archives/3154
 ◎働き方改革の本質は昭和型価値観の変革である(http://www.kensyu.com/info/archives/3068