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理想的なチーム人数は?

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 スパンオブコントロールという言葉がある。日本では統制範囲の原則と訳されている。組織化を検討する際に重視する原則のひとつである。簡単に言えば、組織において1人の管理者やリーダーがふさわしい管理や適切な影響を及ぼすことができる人数には限りがあるということである。最適なチームサイズについては古今いろいろなことが言われてきた。経験値で言えば、理想的なチームサイズは < メールマガジン続き.. >  5人~7人といったところであろうか。

 

 こうした疑問に触発された社会科学者や文化人類学者たちは、様々な領域で研究を広げている。中でもダンバー数で有名なイギリスの人類学者ロビン・ダンバーは多くの民俗学的研究をもとに様々なグループを研究する中で同じ規模の集団が繰り返し登場するところから、それを「親密さの集まり」と称し、「社会集団(クリーク):最も親しい友達やパートナーの人数5人」「シンパシー・グループ:ほぼどんな状況下でも心から信頼できる人の数12人から15人」「一団(バンド):危険な国を安全に往来できる小さな団体50人」に分類している。

 

team 中でも、ダンバーの最大の発見は、チームサイズには上限があるというものであった。それは正確には147.8人。一般的には150人という数字が彼の名前をとってダンバー数と呼ばれているようである。

 

 ダンバーは私たちが真の社会的関係を結べる最大数が150であるという仮説をたてていたという。言われてみれば、SNSでよく利用するフェイスブックの友達の数や年賀状のやり取りをしている友人の数、といった身近なところで考えるとなかなか実感を持てる数値ではある。

 

 この150というのは共同体として一緒に暮らすのに最適な人数であり、人間の脳が性格や行動を記憶・蓄積できる他者の人数とも合致するといわれている。さらに500は会うと会釈する程度の顔見知りの人数。1500は、人間の長期記憶の情報数の限界(頭の中で顔と名前が一致する人数)ということである。こうした点を考えると、会社における組織人数の在り方にもダンバー数のようなものはあるように思える。企業規模が拡大するにつれて様々な問題が吹き出てくるが、こうした人間の社会的活動を適切に維持できる企業規模という考えは古くて新しいともいえる。アメリカのあるIT企業は、企業規模が1500人を超えると部門を分割するということを長い間行っていたそうである。多分それは業種や業態、組織の有り様、文化、人種などによっても多少は異なるのかもしれない。日本には1000人企業という考え方があるようである。

 

 私たちが組織を考える際に、機能的な視点や組織階層、組織連携などには関心が強いが最適な組織人数といったことには深く考えが及ばないことが多いのではないか。そのことによって組織に従属する人たちの効果的コミュニケーションや相互作用が大きく影響を受けているとしたらどうだろう。こうした分野における長い歴史の中で培われてきた人類の智慧「組織の科学」をのぞいてみるのもいいかもしれない。ネットワークという新たな関係性の在り方が模索されている時代であるがゆえに。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

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