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日本企業の強みと言われた「チーム力」は今

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 組織の問題を考えるときに必ず出ることとしてコミュニケーション不足がある。1980年代までは、日本企業の強みとしてチーム力や協働をあげる人が多かった。チーム力や協働の土台となるのはコミュニケーションであるから、それまではうまくいっていたということなのだろう。

 

 しかし、近年、日本企業の強みであったチーム力や協働性の低下を指摘する人は多い。そのことは、職場コミュニケーションの劣化を意味する。その背景として成果主義人事の浸透や仕事の専門化、分業化、高度化があるとされている。さらに、ICT技術の普及によりメールやSNSによるコミュニケーションが職場においても主となり、対面コミュニケーションが少なくなっていることもその一因といっていいだろう。

 

 これらが、職場コミュニケーションの壁や利害対立、相互の無関心を作りだし、結果としてチーム力や協働性が低下しているというのである。また、そのことによる社員のモチベーション低下を指摘する識者も後を絶たない。それが反社会的行動(情報漏洩、不正、ハラスメント等)を増長させているということも言われている。

 

team こうした傾向は、職場における対人関係にも大きく影響しており、職場での社員同士の信頼感が以前より低下しているという調査結果もある。こうしたことが職場風土として一旦形成されるとそれを変えるのは大変な労力を要する。協働とは一緒に協力し合って働くことであるから、その土台となる相互の信頼性がぐらつくとうまくチームや組織としての力を発揮できなくなる。

 

 この協働には、5つのレベルがあるとされている。一つは、個人間協働である。次に、グループ内協働、さらにグループ間の協働、組織内協働、組織間協働となる。こうした協働には、運命の相互依存性と課題の相互依存性が重要であるとLewinという学者が指摘している。つまり、同じときに、同じ結果や成果を経験することで同じ船に乗っている感覚を共有し、それぞれが取組んでいる仕事課題や目標に関して関連性を持ち、相互の目標達成に密接に関わり合いを持つ事が大事ということである。

 

 特に仕事面での相互依存は、個人で自己完結するような仕事環境ではなく、仕事の進め方や仕事内容を共有し、職場で個人を支援する環境にすることが重要となる。例えば、顧客からの問合せに対して誰でも対応できるようにしたり、一つの仕事を複数で分担したり、チームや組織単位の目標を設定するなどの取組みである。

 

 また、過度な競争環境は相互依存性を低下させ、職場における協働を阻害することが言われており、この点にも十分留意する必要がある。さらに、職場においての協力要請、依頼に対しては誠実に対応するといった規範や雰囲気を形成することも大事である。

 

 日本の強みといわれてきた「チーム力」、皆様の職場ではいかがであろうか?その意味から、職場における様々なグループプロセス(個々のメンバー状況、コミュニケーション、意思決定、リーダーシップ、目標、仕事の仕方、規範、雰囲気等)を観察、点検してみることをお奨めしたい。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

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