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第13回:物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

嶋田俊平(株式会社さとゆめ 取締役 チーフコンサルタント)
人材・組織・経営-専門家コラム

 前回(6月号)では、現在進行中のプロジェクトを幾つか紹介しましたが、今回は、そのうち、宮崎県日之影町のプロジェクトを少し詳しく説明します。

 

 日之影町は、全国的にも貴重な照葉樹林の中を散策できる遊歩道などを整備したり、森林を案内するガイドを養成したり、森林の体験的な利用に力を入れており、2006年には、九州で初めて森林セラピー基地に認定されています。

 一方で、その投資に見合うだけの誘客や、地域への経済効果が得られていないのが現状です。その理由としては、ターゲットとする顧客(癒しやリフレッシュを求める都市住民など)のニーズにあったサービス開発やプロモーションが十分でないことが一番大きい理由と考えられます。

 

 そこで、私が所属する株式会社さとゆめが町からの依頼を受け、今年から、物語マーケティングを活用した、顧客ニーズにあった新たなプログラムの開発や、そのプログラムを担う人材育成、プログラムの試行(モニターツアー)を行うことになりました。

 既に、計3回の物語マーケティングワークショップを終え、ターゲット(物語の主人公)とプログラムが固まってきました。ワークショップでは、6つの班に分かれて、以下の5つのステップでプログラムを検討していきました。

 

 ※物語マーケティングワークショップの進め方は以下を参照のこと

  ①「ステップ1 主人公の設定」 「ステップ2 ストーリーづくり」
   http://www.kensyu.com/info/archives/1520

  ②「ステップ3 物語のマップづくり」 「ステップ4 物語の年表づくり」
   http://www.kensyu.com/info/archives/1590

  ③「ステップ5 物語の計画への落とし込み」
   http://www.kensyu.com/info/archives/1686

 

6つの物語のうちの一つは、例えば、以下のような感じです。

 

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東 京一(あずまきょういち)さん家族の物語

 

 都内に住む30代の夫婦、東京一さんと京子さんの間には、現在11歳、小学5年生のひとり息子、京一郎くんがいます。京一さんも京子さんも東京生まれ東京育ちで、ご両親も東京出身なので、田舎という故郷はありません。

 都心部に住んでいる事もあり、京一郎君は私立の進学校に通っています。進学校ゆえに、勉強、勉強の生活で、子供ながらに子供らしさがなかったり、ちょっと反抗期を迎えていたりで、家族らしい会話もなくなっており、京一さん・京子さんもこれではいけないのではないかと言う悩みを抱えています。

 

 ある時、京子さんは、ネットショップで、子供が勉強の合間にリフレッシュできる、良い睡眠が得られるなどの効用があるアロマのリフレッシュスプレーを見つけ、購入しました。

 とても良い香りがして、子どもも喜んで使ってくれるのでとても気に入り、「これどこで作っているんだろう」と関心を持ってラベルを見てみると、宮崎県日之影町というところで作っていることを知りました。

 

 東夫婦は故郷がないこともあり、日之影町に家族旅行で行ってみることにしました。日之影では、野菜の収穫などの農業体験を家族でしたり、わら細工や竹のワークショップをしたり、今回の家族旅行のきっかけであった日之影産のみつろうやリフレッシュスプレーの体験などを楽しみます。また、おかげSunマルシェのメンバーが町内で経営する、地域の物産、スーパーフードなどを扱うカフェにも訪れます。

 日之影での様々な体験がきっかけで、京一さん・京子さん夫婦は、子供は勉強も大事だけれども、最終的には暮らす力や生きる力っていうものが大事なんじゃないかっていう事に気づき、家族の絆、人の原点を見つめ直すようになりました。また、家族の会話も気付いたら増えており、仲良く東京に戻ります。

 

 家族の会話が増えた事によって、息子の京一郎君が本当にやりたい事が見つかります。また、京一・京子夫婦は、退職後に日之影に移住することになりました。そこで、自分達が体験した事を、観光客や、子供のトラブルを抱えている親御さんにも体験してもらいたいと考え、新たに体験型観光やカウンセリング等の事業を始めます。また、農業を始めたり、物産展のお手伝いをしたり、古民家の再生をしたり、日之影での楽しく、充実した日々を過ごします。また、息子の京一郎君もしばらくして、日之影に移住してきて、日之影町は、東ファミリーにとって、本当の故郷になったのでした。

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 この物語から、以下のようなコンテンツを抽出し・・・

  ・家族の絆を取り戻すグランピング(グランピング=快適性の高い豪華なキャンプ形式)

  ・家族・親子を対象とした体験プログラム提供(有機農業、茶摘み、蜜蝋・リフレッシュ
   スプレーづくり、わら細工・竹細工等)

  ・ハンドクリーム、リフレッシュスプレー等の商品化・ネット通販

  ・町内での地域産品・スーパーフードのカフェ経営

  ・日之影産品のセレクトショップ、マルシェ

 

 以下のようなプログラムに仕上げていきました。

 

■家族向けプログラム

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■都会で働く女性・ママ向けプログラム

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 また、これらのプログラムの担い手を育成するために、森林セラピーガイド等を対象とした「ひのかげ森林セラピーサービス力向上講座」を行いました。約20人が参加し、スキルアップに励み、11月にプログラムの試行(モニターツアー)を行うべく準備を進めています。

 

■ひのかげ森林セラピーサービス力向上講座の案内

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 このように、普段あまりマーケティング的なものの考え方をしない地域の方々が、ターゲットのニーズを意識しながら、プログラムや事業プランを構築することができるのが、物語マーケティングの特長であると言えます。

 

 次回も、物語マーケティングを地域で活用した事例を紹介します。

 

 


 

shimada


 株式会社さとゆめ
 取締役 チーフコンサルタント 嶋田 俊平

京都大学大学院農学研究科修了。環境保全・地域振興の専門コンサルタント会社勤務を経て、2013年5月 株式会社さとゆめ 設立。コミュニティビジネスの計画策定から事業の立上げ、商品開発、販路開拓、店舗プロデュースまで、トコトン地域と伴走するコンサルタントとして、全国を飛び回る日々。
技術士(環境部門、森林部門)。

個人ブログ「日本再発見ノート」 http://shumpeishimada.hatenablog.com/

 


 

株式会社さとゆめ

「ふるさとの夢をかたちに」を合言葉として、持続可能な地域づくりのためのヒト・モノ・コト・バづくりをトータルコーディネートする伴走型コンサルティング会社。全国の隠れた逸品、頑張っている生産者を応援するためのアンテナショップ「さとゆめLAB SHOP」(永田町)も運営。

■会社HP http://satoyume.com/

■さとゆめLAB SHOP https://www.facebook.com/LabSatoyume

 


 

 

バックナンバー : 物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

 ◎第12回 http://www.kensyu.com/info/archives/2190
 ◎第11回 http://www.kensyu.com/info/archives/1972
 ◎第10回 http://www.kensyu.com/info/archives/1792
 ◎第09回 http://www.kensyu.com/info/archives/1686
 ◎第08回 http://www.kensyu.com/info/archives/1590
 ◎第07回 http://www.kensyu.com/info/archives/1520
 ◎第06回 http://www.kensyu.com/info/archives/1246
 ◎第05回 http://www.kensyu.com/info/archives/1163
 ◎第04回 http://www.kensyu.com/info/archives/985
 ◎第03回 http://www.kensyu.com/info/archives/706
 ◎第02回 http://www.kensyu.com/info/archives/483
 ◎第01回 http://www.kensyu.com/info/archives/69