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コミュニケーションの4機能

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 組織課題を顧客と検討する場合によく出るテーマにコミュニケーションがある。「うちはコミュニケーションが悪くて、・・・」とか「うちは部門間のコミュニケーションが阻害されている」とかいった具合である。しかし、こういった検討を顧客としていて気になることとして、コミュニケーションをどうとらえているのかがはっきりしないことが多いということがある。組織論的に言えば、コミュニケーションが集団や組織の中で果たす機能は四つあるといわれている。それは、「統制」「動機づけ」「感情表現」「情報」の四つである。

 

 まず、統制であるが、組織には従業員が従うべき権威の階層や公式の指針などがある。たとえば、従業員は、職場環境や仕事への不満があった場合はまず直属の上司に話しをするように言われたり、会社の規則やルールに従うように言われたりする。こうした場合のコミュニケーションは、統制機能を果たしていることになる。こうしたコミュニケーションには公式、非公式両方の側面があるといわれている。

 

 次に、動機づけ機能であるが、組織では従業員がなすべきことや現在求められている成果の達成状況やその状況が良くない場合に改善を求めたり、改善策を提示したりといったことを行うことによって従業員の動機づけを行っているということである。こうした具体的目標の設定や目標に対する進捗状況のフィードバック、好ましい行動の明確化といったことは、従業員のやる気を刺激し、コミュニケーションを促進することになる。

 

communication また、従業員にとって職場は、社交的交流の場という側面もある。組織の中で行われるコミュニケーションには、そのメンバーがその職場や仕事に対して不満や満足を表すための基本的な手段という面があるのである。この場合、コミュニケーションは、従業員の感情を表出させ、社交的欲求を満たすものといえる。こうした側面をうまく行っていないと、職場の人間関係や信頼関係に問題が生じることが多い。

 

 

 

 最後に、情報という側面であるが、これは組織における意思決定を促す役割に大きく関係している。コミュニケーションには、いろいろな判断場面における選択肢を特定・評価するためのデータを伝達することによって、個人や集団が意思決定をする際に必要な情報を提供するという機能があるのである。こうした情報機能が阻害されると組織の意思決定は歪み、正しい判断が難しくなる。特に経営情報、現場情報の共有は組織の意思決定において重要な役割を果たす。

 

 これまで紹介してきた四つの機能は、いずれも大変重要なものといえる。組織が機能するためには、従業員に対する何らかの形の統制を維持し、彼らが業務を意欲的に遂行するように促し、職場での様々な感情表現の手段を提供し相互交流を促進、そして種々の選択や意思決定を行うために必要な情報を共有することが必要なのである。

 

 集団や組織におけるコミュニケーションの相互作用は、ほとんどの場合、これら四つの機能のうちのどれかもしくは複数によって成り立っているのである。組織におけるコミュニケーションの検討はこうした点を考慮して行う必要がある。

 

 


 

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 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 

 

 

1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com

 


 

 

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