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第10回:物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

嶋田俊平(株式会社さとゆめ 取締役 チーフコンサルタント)
人材・組織・経営-専門家コラム

 前号までは、事業計画の策定に物語マーケティングの手法を活用するプロセスについてご紹介しました。今号では、地域の住民や事業者に、行政の計画を分かりやすく理解してもらうために、物語マーケティングを利用した事例についてご紹介したいと思います。

 

 なお、こういった使い方に関しては、顧客のニーズに即した事業や商品を開発するわけではなく、マーケティング的な要素が少ないので、「ナラティブ・プラニング手法」(物語計画手法)と呼ばれることもあります。

 

 私がこの「ナラティブ・プラニング手法」を使って、計画策定に携わったのは「対馬市環境基本計画」です。対馬市のウェブサイトでも対馬市環境基本計画の本体や概要版が公開されているので、ぜひご覧ください。

 

 参考:対馬市環境基本計画 (対馬市公式ウェブサイト)

 http://www.city.tsushima.nagasaki.jp/policy/cat83/post_92.html

 

 

◎図1:対馬市環境基本計画の物語のイラスト(画像クリックで拡大)

tsushima

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この環境基本計画は、概要版が対馬市の全世帯に配布される他、本編は、対馬市の全ての学校、図書館、主要な公共施設などに置かれ、対馬市の市民・事業者が手に取って、市の環境を守っていく際に指針とするアクションプランです。

 

 私は、形だけの計画にならないよう、市民や事業者が、環境の目標像に共感し、具体的な一歩を踏み出そうと思ってもらえるようにと、「ナラティブ・プラニング手法」を使って、「2025年までに実現したい対馬の姿」(望ましい環境像)や「そのために市民・事業者・行政がすべきこと」を物語風の文章とイラストで表現することを提案しました。

 

 なお、この物語は、市民自身の言葉で表現するため、市民アンケート調査および市民インタビュー調査を実施して、両調査から得られた言葉をもとに構成しました。

 

 さらに、単に物語風の文章で表現するのではなく、将来の自分たち自身にインタビューする形を採用することで、より生き生きと描く工夫をしています。

 

 物語の冒頭で、「10年前」(未来である2025年から現在を振り返って)に対馬市が抱えていた課題を述べ、その上で課題を解決していく道筋を、「10年後の市民」が振り返る形で記述したのです。

 

 「そりゃぁもう、思い返したら、自分にとっても、地域にとっても、いろいろと変化の大きい10年間やったなぁ~。もちろん、良い変化たい。

 まず一つは、環境に配慮した農業が広がってきたことやね。例えば、今僕がいる集落で農業をやっとる農家は、ほとんど全員が、佐護地区で取り組みが始められた「ツシマヤマネコと共生する米づくり」に共感して、低農薬、冬期湛水・早期湛水など、ツシマヤマネコに配慮した農法に取り組んどるよ。

 自分も、5年前から環境に配慮して農業をやっとるけど、それまで、この集落で30年間農業をやっていながら一度も見たことが無かったツシマヤマネコに、年に何回も会えるようになったもんね。世界でここにしかいない天然記念物・ツシマヤマネコが、自分の田んぼに来てくれていると思うと心から誇りを感じるね。」

 

と、まあ、こんな具合です。

 

◎図2:対馬市環境基本計画での物語(抜粋・画像クリックで拡大)

tsushima2

 このように表現することで、環境は急激に改善できるわけではないけど、地道な取り組みを10年間積み重ねていくと、確実に環境の改善が図ることを分かりやすく伝えられたのではないかと思います。

 

 次号でも、物語マーケティングの様々な使い方を紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

shimada


 株式会社さとゆめ
 取締役 チーフコンサルタント 嶋田 俊平

京都大学大学院農学研究科修了。環境保全・地域振興の専門コンサルタント会社勤務を経て、2013年5月 株式会社さとゆめ 設立。コミュニティビジネスの計画策定から事業の立上げ、商品開発、販路開拓、店舗プロデュースまで、トコトン地域と伴走するコンサルタントとして、全国を飛び回る日々。
技術士(環境部門、森林部門)。

個人ブログ「日本再発見ノート」 http://shumpeishimada.hatenablog.com/

 


 

株式会社さとゆめ

「ふるさとの夢をかたちに」を合言葉として、持続可能な地域づくりのためのヒト・モノ・コト・バづくりをトータルコーディネートする伴走型コンサルティング会社。全国の隠れた逸品、頑張っている生産者を応援するためのアンテナショップ「さとゆめLAB SHOP」(永田町)も運営。

■会社HP http://satoyume.com/

■さとゆめLAB SHOP https://www.facebook.com/LabSatoyume

 


 

 

バックナンバー : 物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

 ◎第9回 http://www.kensyu.com/info/archives/1686
 ◎第8回 http://www.kensyu.com/info/archives/1590
 ◎第7回 http://www.kensyu.com/info/archives/1520
 ◎第6回 http://www.kensyu.com/info/archives/1246
 ◎第5回 http://www.kensyu.com/info/archives/1163
 ◎第4回 http://www.kensyu.com/info/archives/985
 ◎第3回 http://www.kensyu.com/info/archives/706
 ◎第2回 http://www.kensyu.com/info/archives/483
 ◎第1回 http://www.kensyu.com/info/archives/69