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第7回:物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

嶋田俊平(株式会社さとゆめ 取締役 チーフコンサルタント)
人材・組織・経営-専門家コラム

 前々号では、約40社の企業と提携して森林での癒し・健康づくり事業「癒しの森事業」を展開している長野県信濃町のことを紹介しました。この事業モデルやサービスのあり方を考える際に活用したのが、物語マーケティングです。今号では具体的にどのように物語マーケティングを進めるのかをご紹介します。

 

 物語マーケティングを地域づくり、コミュニティビジネス等に活用する際には、まず、事業に参画している、あるいは参画する可能性のある住民や事業者を集めるところからスタートです。

 

 癒しの森事業の場合は、町役場、ペンション、ホテル、ガイド、病院、森林組合、農協、道の駅など、観光・医療・農林業・行政等幅広い主体が事業に参画する必要があるので、事業プランを検討するワークショップに、それらの代表者や現場のリーダーに参加してもらいました。適正人数としては10人程度で、2~3回のワークショップ検討を重ねていくのがよいでしょう。

 

◎住民・事業者に集まってのワークショップの様子

写真1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に、そのワークショップでは、物語マーケティングのルールに則って、以下の2つのステップでディスカッションしていきます。下図のように模造紙に線を引き、それぞれのステップで、参加者がどんどん意見を付箋に書き出し、貼っていきます。

 

 ステップ1 物語の主人公を設定する。

 ステップ2 商品・サービスが主要な役割を果たす物語(ストーリー)を考える。

 

◎物語マーケティングのワークショップで用いる模造紙

図1

 ステップ1の主人公設定では、どのような人が、事業の顧客になり得るか、どのような人がその商品・サービスを喜んでくれるか、人物像をイメージしていきます。年齢、仕事、所属、住まい、趣味・関心事なども仮に決めてその人の姿が目に浮かび、ワークショップ参加者が同じイメージを共有できるくらいに、できるだけ、徹底的に具体化していくのがコツです。

 

 ステップ2のストーリづくりでは、前述のように、古代ギリシャ時代からの民話学の知見も踏まえ、①「越境」→②「危機」→③「成長」→④「勝利」という4つの要素に分けてアイデアを出していきます。

 

 ①「越境」:主人公に大きな環境変化が訪れる

 ②「危機」:主人公はどん底に落ちるがパートナーに出会い危機を逃れる

 ③「成長」:主人公は困難を克服し成長する

 ④「勝利」:主人公は目的を達成し報酬を得る

 

 信濃町の住民や事業者とともに、こうしたワークショップを何度も開き、事業全体のビジネスモデルや、個別のプログラムを考えていきました。今回は、その中のひとつをご紹介します。お客さんの命を預かる仕事で深夜勤務も多く、メンタルヘルスに失調をきたす方が多いといわれるタクシーの乗務員さんを主人公にした物語です。

 

<主人公とストーリーのあらすじ>

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◎タクシーの乗務員を主人公にした物語のあらすじ(画像クリックで拡大)

図2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この物語を企画書にしてタクシー会社に提案したところ、非常に好評を得て、すぐに「企業のふるさとづくり協定」を結んで「企業のふるさとづくりツアー」を開催することになりました。また、少し時間はかかりましたが、社員食堂でも信濃町の野菜を使ったメニューも提供されました。さらに、信濃町としても「癒しの森コンシェルジュ」という人材育成制度を開始することになりました。まさに「物語」が「現実」になった瞬間です。

 

かなり端折って説明しましたが、このように想定顧客を主人公とした「物語」を描くことで、顧客のニーズにあった事業、商品・サービスを構想するのが物語マーケティングです。

 

 


 

shimada


 株式会社さとゆめ
 取締役 チーフコンサルタント 嶋田 俊平

京都大学大学院農学研究科修了。環境保全・地域振興の専門コンサルタント会社勤務を経て、2013年5月 株式会社さとゆめ 設立。コミュニティビジネスの計画策定から事業の立上げ、商品開発、販路開拓、店舗プロデュースまで、トコトン地域と伴走するコンサルタントとして、全国を飛び回る日々。
技術士(環境部門、森林部門)。

個人ブログ「日本再発見ノート」 http://shumpeishimada.hatenablog.com/

 


 

株式会社さとゆめ

「ふるさとの夢をかたちに」を合言葉として、持続可能な地域づくりのためのヒト・モノ・コト・バづくりをトータルコーディネートする伴走型コンサルティング会社。全国の隠れた逸品、頑張っている生産者を応援するためのアンテナショップ「さとゆめLAB SHOP」(永田町)も運営。

■会社HP http://satoyume.com/

■さとゆめLAB SHOP https://www.facebook.com/LabSatoyume

 


 

 

バックナンバー : 物語マーケティングで、地域と企業を活性化しよう。

 ◎第6回 http://www.kensyu.com/info/archives/1246
 ◎第5回 http://www.kensyu.com/info/archives/1163
 ◎第4回 http://www.kensyu.com/info/archives/985
 ◎第3回 http://www.kensyu.com/info/archives/706
 ◎第2回 http://www.kensyu.com/info/archives/483
 ◎第1回 http://www.kensyu.com/info/archives/69