「人と組織の成長を支援する」情報・サービスのご紹介
人材・組織・経営-専門家コラム
ホーム > 人材・組織・経営-専門家コラム > 株式会社HPT研究所 > プロセス・ロスとプロセス・ゲイン
cts_clm_201504_01

プロセス・ロスとプロセス・ゲイン

伊藤克彦(株式会社HPT研究所 代表取締役)
人材・組織・経営-専門家コラム

 チームで仕事をする場合、各メンバーがバラバラで、お互いに協力しないなど非効率な仕事の進め方をしていると当然のごとく生産性が低くなる。このような、メカニズムを社会心理学者のスタイナーは「プロセス・ロス」と呼んで以下の公式で、その生産性を予測しようとした。

 『 実際の生産性=潜在的生産性―欠損プロセスに起因する損失 』

 つまり、チームの生産性は、ひとり一人がもつ潜在的生産性から、お互いの相互過程で生じるロスを引いたものであるという考え方である。よく例示されるケースとして < メールマガジン続き.. > プロ野球の巨人がある。資金力にものを言わせて、球界のスター選手を集め球界最強のチーム作りをしているにもかかわらず毎年優勝しているわけではない。つまり選手ひとり一人の能力(生産性)は最強でも、チーム活動というプロセスでは他球団に比べて大きな損失が出て、優勝を逃しているということだろう。


team 企業組織においてチーミングやチームワークが重視されるのもこうした背景といっていいだろう。代表的なプロセス・ロスとしては社会的手抜きがある。これは組織やチームで活動する場合、自分一人が手を抜いても影響はないだろうと考え起こる現象である。こうした人をフリーライダー(ただ乗り)といって組織成果の分配において問題視する人は多い。また、相互の役割分担が適切でなかったり、目指す方向性や目標認識の違いからもプロセス・ロスは生じる。仕事のやる気や仕事の意義の納得感、専門化・分業化による協働作業の減少、職場の多様性の増大などもその原因といわれている。


 こうしたプロセス・ロスを最小化するためには、お互いの関係性を重視したチーム・ビルディングが重要だといわれている。有名なものとしてBeckhardのモデルがある。これは、チームで活動する場合、その活動を高める4つの次元があるというものである。その根幹となるのは「目標」や「チームビジョン」であり、それがどれくらいチームメンバー間で共有され、自分のこととして当事者意識を持っているかが課題となるという。次は「役割」である。つまり、誰が何を担当するかやそれを行うために必要な責任と権限が明確になっているかということである。ここでは相互の役割が相互補完的にどれだけ柔軟に補われているかが課題となる。3番目に大事なのは「仕事の進め方」である。仕事の手順やフローの適切さ、その手順やフローの明確化と共有化、意思決定の仕方、ミーティングの仕方、メンバーマネジメントの在り方等、が課題となる。最後に指摘されているのが、メンバー間の対人感情や価値観の違い、相互の影響度合い、等の関係性の問題である。対人関係に関しては、目標や役割、仕事の進め方を正しく理解していないことから生じることが多いとされている。

 こうしたチームビルディングの4次元への取組みがうまくいくことでプロセス・ロスは少なくなり、逆にプラスの効果、プロセス・ゲインが生まれる。プロセス・ゲインはチームの中での相乗効果によって、メンバーの潜在的生産性を超えて、実際の生産性が高まることをいうが、ここまで来て初めて組織力が向上したといえるのである。

 

 


 

hpt_katsuhiko.ito


 株式会社HPT研究所
 代表取締役 伊藤 克彦

 


1979年 株式会社リクルート入社、人材総合サービス部門で1000社を超える企業の採用、教育、人事処遇に関する業務に従事。その後、映像事業部門でプロデューサーとして教育映像コンテンツ制作他に携わる。

ダイエーの資本参加に伴って福岡ドーム事業に参加。主として法人営業部門を担当。リクルート復職後、広告局長、営業教育事業部門の責任者を経て、2002年独立しHPT研究所を設立、今日にいたる。

専門分野:組織変革、ビジョン・戦略構築、人事制度設計、教育制度設計、研修プログラム開発、マネジメント教育 他
広島大学教育学部(心理学科)卒

 


 

株式会社HPT研究所

経営の実行プロセスである「戦略」「業務」「人事」という3つの領域で、コンサルサービスを提供している。社名のHPTはHuman Performance Technologyの略。 人と組織の行動成果をいかに高め企業業績を向上させるかをテーマに様々な取組みを行っている。

■会社HP http://www.hpt-lab.com